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「派遣」という雇用形態が流行りはじめた90年代後半。正社員になるよりも手軽で、応募すればほぼ確実に採用が決まる「派遣」。
私の派遣人生は2001年12月から始まります。新卒や第二新卒で就職するよりも手取りのお給料は高く、当時25歳だった私は何の躊躇もなく「派遣」というシステムに飛びつきました。
しかし、同年代の友人が着々と地位を上げている一方、いつ切られてもおかしくない派遣の身分に落ち込む自分がいました。
もっと早くに簿記と出会っていれば、こんなにも遠回りすることはなかった…、と思います。
いや、遠回りをして、ちゃんと自分の目で確かめてきた分、他人の芝が青く見えることもなくなったので、結果オーライといったところでしょうか。
ここでは、当時の私と同じように、就職の悩みを抱えている方の役に立つことができればと思い、今までの経験談をお伝えしていきます。
専門性なく派遣で働けるのは34歳まで
「女性は35歳になると突然、別格になるの!?」
なんだか悲しくなりますよね。企業が年齢を理由に不採用とすることを堂々と言うわけはありません。ありませんが、そう感じている女性は多いんじゃないかなと、思います。
私は女子大の英文科を卒業し、英語を武器に仕事を(派遣で)転々としてきました。
今振り返ってみると、英語は武器ではなかったように思います。
英文科出身でちょっとした英語を話すことができる若いお嬢さんは、正直たくさんいます。
いい方は悪いですが、代えがきくんです。
英語を武器にするためには、同時通訳ができるとか、ビジネスレベルでネイティブと交渉ができるとか、英語+αがないと社会では通用しません。今の時代、TOEIC900点以上を取っていても、それ自体が採用の決め手となることはないようです。
そんなことを言われても、今さら身に付けられる専門性ってあるの?できれば、就職に有利になるような…。
これから身につけられる専門性のおすすめは、なんといっても簿記!

次のような方には単刀直入に言います!今すぐ簿記の勉強を始めましょう!
- 派遣で仕事を転々としてきたけれど、転職回数が増えるだけで、一貫したキャリアがない
- 社会に出て数年が経ち、もはや第二新卒の枠で就職活動ができなくなってしまった
- 育児がひと段落したので、そろそろ社会復帰をしたいと考えている
でも簿記の勉強といっても、何から始めたらよいのでしょう。目的がないと、いつの間にか止めてしまうことって多いですよね。
そこでおすすめが、日商簿記検定の受験です。簿記の知識が得られ、履歴書にも箔が付きますし、一石二鳥です!
日商簿記検定の2級までで十分!
日商簿記検定は1級まであります。
しかし、実務では必ずしも1級を取得していることが望ましいというわけではありません。
日商簿記検定2級は中小企業の経理担当職レベルに相当します。
そのため、2級を取得したら、各種就職・転職サイトやハローワークなどに掲載されている企業の経理担当職や一般事務職の求人案件に応募することができるようになります。
実務経験を積むことで、自然と「専門性」が増しますので、是非実務に入ることをおすすめします。
「いやいや、私は経理担当職レベルでとどまりたくない。いずれは税理士の資格を取得して、もっと上を目指したい!」と考えている方も、2級を取得した段階で、税理士事務所や公認会計士事務所に就職することをおすすめします。
というのも、税理士の受験資格には「法人や個人の会計に関する事務、もしくは税理士・弁護士・公認会計士等の業務補助の経験年数が3年以上」という項目があるからです。
何よりも、新しい業種や業界に転職をするのなら、チャンスは一日でも早い方がいいですし!
税理士法人、監査法人、アカウンティングファーム、個人の税務・会計事務所、事業会社の財務・経理部門…これまで縁のなかった業界への転職が可能になります。

ボーナスや昇進のない「派遣」。いつ切られてもおかしくない雇用形態で、何の専門性もなくいつまで続けていけるのだろう…、と将来のことを考えると不安になる時期がありました。
30歳を目前に簿記と出会い、一か八か(大袈裟ですが、当時はそのような心境でした)この簿記にかけてみることにしました。
そして、簿記の知識0の状態から、半年間の独学で3級と2級に合格することができたのです。
これまでに知ることもなかった会計や税務分野の転職サイトに登録し、これまで縁のなかった業界に応募することもできるようになりました。
その後は、事情があってキャリアを一時ストップした時期もありましたが、再就職の際には、「日商簿記検定2級」と税務会計分野での実務経験、そして少しの英語力を評価してもらい、無事、社会復帰を果たすことができました。
合格までの道のり
ここで、簡単に私の独学方法をご紹介します。
派遣とはいえ、平日は18時まで勤務していました。そのため、勉強時間は食事や入浴を済ませ、だいたい22時過ぎから開始し、2時間くらい。長くても3時間といったところでした。
残業や飲み会、たまに友達と会ったりしていましたので、毎日スケジュール通りにはいきませんでした。
そのような中、気をつけていたことが一つあります。
それは、どんなに帰宅が遅くなったり、疲れていたとしても、毎日必ず15分は簿記に触れる時間を作るということです。
まとまった時間が取れない日は、問題集の問題を数問進めるようにしました。
使用したテキストは2級も3級もスッキリわかるシリーズ(TAC出版)のテキストと問題集のみで、これ以外の教材は使用しませんでした。
【まとめ】簿記という専門性は、学部や出産・育児で制限されがちな女性の働き方を応援してくれます。
私自身、「簿記は商業高校で勉強する科目であって、私には関係のない世界」と思い込んでいましたので、それが大きな間違いだと気づくまでにちょっと時間がかかってしまいました。
私のように英文科や文学系の学部を卒業し、簿記を知るチャンスのなかった方や、転職を繰り返し、なかなか定着した就職先を見つけられずに悩んでいる方。育休を経て、もう一度社会に出て働きたいと思っているママ。
簿記は貴女の選択の幅を広げてくれますよ!
この記事が少しでも多くの方のお役に立てたら嬉しいです。
そして当時一緒に働いていた男性社員から、「コタママさんは細かい作業が丁寧だし、経理向きだよね。簿記の勉強してみれば?あ、決して無理強いではないからね。」と言われたことをきっかけに、日商簿記検定の勉強を開始。
みるみるうちに複式簿記の世界に引き込まれ、半年の独学で日商簿記検定3級と2級に合格。それまで派遣で勤めていた商社を辞め、大手税理士法人に転職。
その後、数か所の会計事務所勤務を経て、とある中堅の税理士法人に骨をうずめる覚悟で転職し、現在に至ります。