親から束縛され続けたけど「おそ松さん」に救われた話

出典元:https://osomatsusan.com/special/2series/
こむぎ
家事手伝いの女性
高校生の妹、母の3人暮らし。
短大卒業後2か月は働いていたものの、会社がブラック企業だったのと持病悪化のため退職。
現在は療養しながら家事手伝いをしつつ、在宅でライターをしています。
趣味はゲームと食べること。
初めまして。こむぎと申します。今は母と4つ離れた妹と三人で暮らしています。

今では落ち着きのある生活になりつつありますが、実は今までに様々な理不尽な目に遭ったり、修羅場を乗り越えたりしたことがあります。その中でも特に父親からの束縛や虐待が一番大きかったかと思います。

現在は父親から離れて暮らしていますが、それまでの道のりは長く苦しいものでした。今でも父親からの虐待の痕に苦しめられることもあります。

そんな私ですが、高校生の頃アニメ「おそ松さん」に救われました。

今まで私はどんな目に遭ってきたのか、また、なぜ私は「おそ松さん」に救われたかについてお話したいと思います。

小中学生時代に私が経験したこと


まずどんな修羅場に遭ったのかを含めて、私の生い立ちについて簡単に話していこうと思います。

1990年代に生まれた私は、当時教師をしていた父と専業主婦の母と一般の家庭と変わらないぐらいの生活を送っていました。しかしその生活は、私が小学校入学したころに父が仕事を辞めたことで一変します。

当時父は小学校の教師をしていました。大人になって知ったことですが、父は同僚でもある先生方や教え子、保護者などの間でトラブルを起こし、当時ではあまり考えられない首になっていたのです。

それはちょうど私が小学校に上がるタイミングで、しかも運悪く私は父が勤めていた小学校に通うことになりました。

そこからは地獄の日々でした。父のことを知っていた上級生からは入学当初からいじめを受け、また父の事情を知る教師たちからは腫物扱いを受けました。

そして3年に上がると、今度は同級生から身に覚えのないことでいじめを受けはじめ、卒業するまで続きました。上級生からのいじめに影響を受けたのもありますが、実は私は発達障害も持っており、それも原因だったのかと思います。

小さい頃から発達障害の疑いがあった私は、いじめが原因で小学5年から対人恐怖症を発症し、精神科に通院したり、中学卒業まで保健室登校をしたりしました。

私の小学校生活は、特に担任の先生に関しては一番配慮を頂けたと思います。ですが今でも申し訳なく感じる先生がいました。

2年生の時の担任だったY先生は産休明けで復帰してきたばかりで、父が起こしたトラブルのことを知っていました。

Y先生は優しい先生でした。しかし大人になって保管していた連絡帳を見返してみると、父が書いたと思われる当時の校長先生やY先生など先生方にあてた罵倒や批判の言葉がたくさんありました。

当時は父から、

「連絡帳渡せ」

と言われると何も疑わずに渡していて、そんな言葉が書かれていたとは知りもしませんでした。私からの連絡帳を見るたびに先生が悲しい思いをしたと思うと、今でも本当に申し訳なく感じます。

いじめは中学まで続きましたが、高校に上がる前に知人男性から性的暴行に遭い、さらに怖い思いをしました。

高校に上がった直後こそいじめはなかったのですが、中学までの同級生からのいじめの再開や、性的暴行に遭ったことを理由にした新たないじめを受けることになり、それは今までにないくらいひどいものとなりました。

父親からの虐待


小学校に上がったのと同時期に父から虐待を受け始めました。たとえば小学2年の時、

「連絡帳をよこせ」

と言われたとき、ちょうど連絡帳の書くスペースがなかったので渡さなかったら殴られたり、風邪薬が苦手だから飲みたくないと言ったら寒い中3時間ほど締め出されたり、また、お金を取られたりもしました。

私には殴る蹴るなどはあまりなかったのですが、妹に対する暴力が特にひどく、父が思い通りにいかなくなるとすぐに妹を殴ったりしていたそうです。

退職後父はしばらくバイトをしていましたが、いつもトラブルを起こし大体3日で職場をクビになりました。その後父方の叔父と結託してなのか、精神疾患と偽った上で診断を受け年金生活をしていました。

しかし、なにか気に入らないことがあると家にお金を入れなくなったり、パートに行き日中家にいない母を不倫扱いにしたりすることもありました。

さらに父は、私が高学年になると好きなものについても制限してくるようになりました。当時私はポケモンが好きでポケモンのゲームをやっていましたが、父は

「そんなゲームはくそだ」

と言って私からゲームを取り上げて、代わりに父の好きなジャズ音楽などを押し付けてくるようになりました。確かにジャズは好きですが、

こむぎ
「私の好きなものは制限されるのに父親の好きなものはおしつけるんだ…」

と思うようになり、父親を怒らせないように行動していました。今になってみると洗脳状態だったなと思います。

徐々に好きなものを素直に楽しめなくなり、気になるものにも興味のないふりをして、父親の顔色をうかがいながら生活していました。

性的暴行に遭った時も最初は一応親身になってくれましたが、徐々にそれは違う方向へとエスカレートしていきました。たとえば

「俺が精神病になった原因を相手に押し付ける」

という発言を弁護士の前でしたり、勝手に新聞社に性的暴行のことを報告したりしました。新聞社の件は弁護士の先生のおかげで世に出ることはありませんでしたが、この件をきっかけに私の洗脳が解け始め、父に対して疑問の念を持つようになりました。

「おそ松さん」との出会いでいろいろと変わった

出典元:https://osomatsusan-movie.com/matsuno-birth2019/

そんな私に転機が訪れます。高校生の時友人から「おそ松さん」を教えてもらったのです。

「おそ松さん」とは…

赤塚不二夫生誕80周年を記念して作られたアニメで社会現象にまで発展した作品です。

「おそ松くん」に登場した六つ子は全員ニートになっていて、他にも個性豊かなキャラクターがたくさん出てきます。

放送当初は人気声優を多数起用した事でも話題になり、映画になったり2.5次元の舞台になったりと勢いが止まらない作品です。

友人は私の家庭事情を知っていましたが、どうしても布教したいのか「おそ松さん」を教えてくれたのです。最初は聞き流していましたが、見ていないとバレると友人の家に連れて行かれて強制的に鑑賞会が始まりました。

本当は気になっていた作品ではありましたが、最初は素直に楽しめませんでした。しかしアニメを見ていると、四男の一松(画像の紫の子)を見て

こむぎ
「あれ…この人…私と似てる…?」
と感じるようになり、いつの間にか私は一松が大好きになっていました。

その後も友人の家に行っては「おそ松さん」を見たり、友人を経由していろいろなアニメを見たりしました。さらにSNSを始めて「おそ松さん」が好きな人たちと交流するようになり、そしてグッズを買ったり作ってみたりもしました。

佐賀県とのコラボイベントには、友人と一緒にはまってしまった友人の妹と親御さんも一緒に行きました。友人のおかげで好きなものは堂々と好きだと言えるようになり、気になっていたたくさんのアニメも見始めました。

当時、性的暴行の件で警察の取り調べを受けたり、学校ではいじめを受けて辛い思いをしたりもしていましたが、「おそ松さん」のおかげで持ちこたえることができたのです。

しかしこの状況を面白く思わなかったのが父でした。最初は

「おそ松さんは教育に悪い。だから見るな」

と言ってきましたが私は初めてそんな父に反抗しました。

こむぎ
「どうして私の好きなものをどんどん奪っていくの!?」

と。すると今度は家にあったグッズを勝手に処分されたり、殴られるようになりました。しかし何よりも、大好きなものを全否定されたことで父のことを許せなくなりました。

短大に入ってすぐのころ、父が母に離婚届けをたたきつけてきました。母は通称「『おそ松さん』事件」以来、父と離婚することを決意していたそうですが、先に父の方から離婚を突き付けてきたのです。

父側の理由としては、ありもしないモラハラや

「熟年離婚はしたくない」

ということでした。しかしこちらも弁護士をたてたり、今までの束縛や虐待、DVの証拠を示すことで、父の有責で離婚ができることになりました。

私と妹と父とで話し合いをしたとき、私に対して

「短大なんて無駄だ。お前は親権を俺にしてすぐに学校をやめて働いて金を入れろ。賠償金も含めて全財産没収する。風俗で働け」

などこれでもマイルドに表現しましたが、こんな感じのことを言ってきました。話にならないと感じ、私と妹は母についていくことになりました。

父親と離れてから


離婚してからは、妹の高校受験や私の性的暴行の裁判などがありなかなか落ち着かない日々でしたが、母も妹もそして私も、父がいないだけでかなり気が楽になりました。

短大では私の境遇を理解してくれる趣味の合う友人に恵まれて充実した学生生活を送ることができました。また高校時代に始めたSNS経由で知り合いお付き合いを始めた方は、現在は婚約者となりました。

しかし父からの虐待でこじらせたのかPTSDが治らないと診断が出たのと、短大卒業後入社した会社がかなりのブラック企業だったこともあって仕事を退職し、今は療養しながら自宅でできる仕事を探しています。

ちなみに「おそ松さん」を紹介してくれた友人は今でも繋がっています。

そして父の方はどうやら複数の方と不倫をしていたようで、その不倫相手の1人と再婚していました。知人の話によると今でも母に「付き合わないか」というメッセージを送ったりしているそうです。もし養えと言われても追い返せるよう今でも警戒しています。

自分自身と好きなものは守らなければいけない

父親という存在に束縛されながら、私は約18年間生きてきました。今の世の中DVや虐待が騒がれていますが、当時は内密に処理されたり解決されなかったりということが当たり前に行われていた時代でした。

それでも人を殴ったり好きなものを全否定するのはいけないことです。

私は「おそ松さん」との出会いで、次のことを教わりました

  • 好きなものは素直に楽しむこと
  • 自分の首を絞めてまで自分に嘘をつかないこと
  • そしていざというときは自分の身を守るためなら逃げてもいいこと

今でも好きなものは素直に楽しみ、そして相手の好きなものを尊重するようにしています。

これからも好きなものを大切にして過ごしていきたいと思います。

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