
いつの時代でも学生にとって苦手教科の克服は避けては通れない課題です。
数学の問題の解き方が分からない、公式がさっぱり、歴史の内容が頭に入らない、英語の文法や語形変化が滅茶苦茶…など、例を挙げたらキリがありません。
私が中学時代、厳密にいえば中学二年の六月まで苦手としていたのは国語でした。
スポーツ選手の名前を覚えるために漢字の読みだけは得意でしたが、漢字を書く事や長文の読解はさっぱりで、小学校から中学まで平均60点台という微妙な成績で推移するという淋しいものでした。
何とか苦手な国語を克服しようと参考書や問題集をいくらやっても苦手意識からか全く興味が持てないまま時が過ぎていたのです。
それが中学二年生の六月のある日、一緒に帰っていた友人が一冊の本を貸してくれた事により私の人生は色々な意味で一変しました。
今回は、いわゆるラノベによって苦手教科が得意教科に変わるとともに人生まで大きく変わった体験をご紹介します。
漢字は読めても書けない!そして読解力がないという致命的な事実

小学生の頃、当時のアイドルだった福田正博以外にも浦和レッズの選手の名前を覚えたいという理由で新聞のスポーツ欄で浦和レッズの試合結果と選手の名前を常にチェックしていたのです。
そのせいか、山田暢久(やまだのぶひさ)に城定信次(じょうじょうしんじ)など難しい人名や、漢字の読みだけは出来るようになっていました。
ですが、興味のほとんどは名前と漢字の読み方であり、漢字が読めても文章の意味や流れを理解するという国語に必要な読解力は全く身に着かないまま中学生になっていたのです。
参考書も効果なし

漢字の読みは出来ても書く事は出来ない上に読解力にも欠けるため、文章の内容を上手く説明する事も出来ないという致命的な弱点によって点数は下がってしまいます。
参考書や問題集で苦手を克服しようとしても、興味がないものをやっても効果があるはずがなく、国語に対する苦手意識が一向に改善される気配がないまま中学二年生となってしまいました。
人生を変えたラノベとの出会い

元々お互いが好きな漫画の感想を語り合う関係ではありましたが、小説が話題になるのは初めてでした。
漫画はともかく、いきなり小説を読むというのはハードルが高いと二の足を踏んでいた私に友が貸してくれたのは、『僕の血を吸わないで』という現代の言葉でいう「ライトノベル(以後ラノベ)」と言われる類の小説でした。
2000年代初頭だった当時はライトノベルやラノベという言葉がまだ存在せず、小説という括りで纏められていた時代でした。
実際に『僕の血を吸わないで』を読んでみるとかなり面白く、これまで読んでいた漫画と同じくらいのサクサクしたペースで読む事が出来たため、読むのに時間が掛かって相手に迷惑を掛けたらどうしようという心配は杞憂に終わりました。
それからは書店に足を運んでは自分で興味を持ったラノベを購入して読むようになり、部屋には漫画よりもラノベが目立つようになったのです。
また、自分の趣味だけでなく学業面にも変化が現れました。
ラノベを読み始めて活字に親しむようになってからは自然と読解力が身に着いたようで、これまで60点台だった国語のテストが一気に80点台に上がるという奇跡のようなジャンプアップを果たしたのです。
苦手教科が一気に得意教科に!

著者が何を伝えたいか、重要なのはどの部分かといった事が自然と分かるようになり、常に漢字を目にする事で漢字も覚えて書けるようになっていったのです。
元々新聞でスポーツ選手の名前を覚えたり、高校生レベルの漢字を普通に読めたりるような小学生だったので、文章に対する苦手意識さえ克服すれば国語の成績がジャンプアップするだけの伸びしろはありました。
つまり、ラノベに出会った事によって自分に足りなかったピースが見事にハマったのです。
文章を読むのが楽しくなってからは、高校を卒業するまで国語の成績は平均80点台という高いレベルをキープし、大学では文学を専攻するなど完全に得意教科となりました。
また、自分と同じように文章に対する苦手意識を持っていた自分の弟にラノベを貸して読ませたところ自分と同じように国語の成績が大きく上がって驚いていました。
国語の成績を上げたいのであればラノベは最強の参考書であるというのが、今では兄弟の共通認識になっています。
苦手克服のきっかけからアニメ好きとなってライフワークに

アニメの舞台となった土地に旅行する聖地巡礼を行うなど行動力がついただけでなく、気になったアニメがラノベや漫画であれば原作をチェックして何処までアニメで放送するか予想したりもします。
もはやラノベやアニメが、趣味を通り越した一種のライフワークになるなど大きな存在になっているのです。
勿論、ラノベを読めば誰もが文章に対する苦手意識を克服出来る訳ではないでしょうが、たった一冊のラノベで苦手教科が克服されたばかりかその後の人生まで変わってしまったというのは疑いようのない事実です。
私が誰かに自分の人生を変えたきっかけを話す機会を得た時は、ラノベを読むようになって国語の成績が20点も上がったという話をしています。
そして何よりも、自分の人生を変える事になったラノベというジャンルを教えてくれた友人には今でも強く感謝しており、友情のありがたみも強く感じています。
ラノベからアニメの世界に入り、たまたま知り合った自分と同じくアニメとアメリカンフットボールが好きなアメリカ人とやり取りしながら一緒に日本とアメリカで時間を合わせてアニメや試合を一緒に見るのが最近の楽しみです。