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私たちは、以前は話し好きだった祖母とのコミュニケーション不足に悩んでいました。
そんな状況が続く二年前、私は「大人の塗り絵」と出会いました。
最初は自分の趣味として楽しんでいましたが、祖母が塗り絵に興味を示すようになり、会話が弾むようになりました。
そして、祖母も88歳にして、新しい趣味に挑戦することになったのです。
祖母とコミュニケーションを取るのが難しい
数年前からの祖母の口癖は「私、何しりゃいいけ(※何かしたい)。何か手伝おうけ」。
母か私が台所に立つと、私たちのほうをじっと見つめて訴えます。
でも、祖母に手伝ってもらうことは何もなく、そう伝えると、祖母はきまって悲しそうな顔をするのです。
何度言い聞かせても、祖母は同じことを繰り返し、私たちは返事をすることに疲れてしまいます。
祖母には悪いけど、火を使わせることも、包丁を握らせることも、危なっかしくてできません。
もともと料理好きではなかったけど、祖母が忙しく台所に立っていた昔を知っているので、いろいろ思い出しては切なくなっていました。
何かしてもすぐに飽きてしまうのが認知症の特徴!?
祖母の妹さんは、新聞を読むことが日課で、読書するのも好きだと聞いていました。祖母にも新聞を読むことをすすめましたが、新聞を手に取っても、読んでいる感じではなかったですね。
テレビ番組は、観ているようでも、続きが気になるわけじゃないのか、途中でトイレに行って自室に戻ってしまったりと、集中力は持続しませんでした。
週三回通っているデイサービスでは、カラオケをしたり、折り紙をしたり、体操をしたりしているようです。ただ「今日、何してきたの?」と聞いても、「忘れた」で済まされてしまうのが、何とも残念でした。
私が始めた「大人の塗り絵が」、まさか祖母との楽しいコミュニケーションの方法になるなんて!

私は「ドラえもん」が好きで、塗り絵にも興味があったので、すぐに書店でそれと36色セットの色鉛筆を買いました。
いざ塗り絵を始めてみると、結構集中できるんですよ。
塗り絵に正解はないので、私は自分の作品がどのように仕上がるのか、ワクワクしていました。
褒められて伸びるタイプの私は、家族に褒められ、塗り絵の世界にのめり込んでいきました。
祖母は「きれいやね、あんた上手やね」と笑顔で褒めてくれて、塗り絵に興味を示しているようでした。
母と私は「祖母に塗り絵をすすめてはどうか」と意見が一致し、祖母も塗り絵を始めることになりました。
いくつになっても何かに挑戦できるって素晴らしい!

本当は本人の好きなように塗ってもらいたかったのですが、それは嫌みたいで、私の言うことに素直に従っていました。
祖母も塗り絵が気に入ったようで、私が「疲れるからもうこのへんにしたら」と言っても、「もうちょっと塗りたい」と夢中になっていましたよ。
何でもすぐに飽きてしまう祖母ですが、塗り絵との相性は良かったみたいです。
祖母は花の塗り絵を何冊も完成させました。上の写真は、私のお気に入りの一枚です。
ピンク系のグラデーションでまとめた「カバ」は、私の自信作でした。作品は返却されないので、コピーしか手元に残っていませんが、「我ながらよく頑張ったな」と思っています。
祖母と私は二次選考を通過し、最終選考に残ったけど、入選はできなかったそうです。
我が家に二通のハガキが届いた時、「残念、惜しかったね」と家族で盛り上がりました。
祖母に結果を知らせると「上等や」と満足そうでしたが、申し込む際に年齢も記載したので、「祖母の年齢を考慮して、もう一声」と思ったものです。
まとめ

祖母は昨年、転んで大腿骨を骨折しました。手術によって歩けるようになったのですが、ひとりで歩くのは大変で、介助が必要になってしまいました。
ますます目が離せなくなった祖母に塗り絵をしてもらっていると、介護の私も少しらくです。「大人の塗り絵」と出会ったことで、大いに助かっています。
祖母とは塗り絵をしながら、お互いの作品を褒め合い、ほのぼのとした時間を過ごしています。
家族のコミュニケーションの方法として、祖母に「大人の塗り絵」をすすめたことは、私たちにとって幸せなことでした。
何か新しい趣味を見つけたい人に、「大人の塗り絵」はおすすめです。家で気軽にできるし、集中力が高まり、夢中になることで、いつのまにかストレス解消にもなっているんです。
90歳の祖母も無理せず自分のペースで頑張っているので、気軽に挑戦してみてくださいね。
趣味はフラワーアレンジメント、読書、お菓子づくり、音楽鑑賞、コンサート参戦など。昔からのテレビっ子で、ドラマもバラエティーも大好きです。
最近お気に入りのバンドは、ONE OK ROCK。車の運転中、彼らのアルバムを繰り返し聴くほどはまっています。