リスカ卒業!うつ病で消えたいと思った私を救った「WRAP」とは

小春ひより
徳島在住、うつ病当事者の上級心理カウンセラー。
緑の多い田舎でまったりと生活しつつ、日々美味しいものを求めて車を走らせています。ドライブのお供は “神様、僕は気づいてしまった” の神ソングたち。
自他共に認めるラテアートマニア。カフェは私の癒やしです(でも完全に紅茶派)。
WRAPファシリテーターとしても活動中。
「もう消えてしまいたい。」という感情でいっぱいだったうつ病の私。

何かあるたびにリストカットを繰り返し、体中は傷だらけ。

それでも「リストカットは私のストレス発散方法!」と信じて日々を過ごしていました。

そんな私の日常は、精神疾患当事者やその支援者たちが集まる「WRAP(元気回復行動プラン)集中クラス」に参加したことで大きく変わりました。

本当に些細なことがきっかけで ”リストカットが止められない理由” に気付けたのです。



うつ病発症!消えたい願望が溢れ、リストカットが止められない


私がうつ病だと診断されたのは、21歳の夏を目前にした頃。

家の目の前にある高齢者向けのデイサービスで働く介護士に憧れていた私は、小さな頃から願っていた「人の役に立つ仕事をする」という夢を叶えるために実家近くの県立総合病院へ就職。

ワクワクしながら真剣に仕事に取り組んできた私ですが、そこで受け続けたいじめが原因で私の心と体はボロボロになってしまいました。

友人に心療内科へと連れて行かれそのまま即入院を言い渡された私は、どれだけ苦しさを訴え退職を願っても辞められなかった仕事・いじめから呆気なく解放されたのです。

ですが、入院し薬物療法を続けても私の症状は悪化する一方。

夢を失い「消えたい、もう私は誰からも必要とされていない。」というマイナス思考に支配された私は、少しでも嫌なことに直面するたびにリストカットを繰り返していました。

「誰にも迷惑をかけないストレス発散方法」だと信じていた


リストカットはやらないで。

そう言って、両親は何度も泣いていました。

私自身も心のどこかで「止めなくちゃ」と思っていました。

刃物を隠して貰い、少しでも切りたいと感じたら頭を切り替えて楽しいことを考えようと努力しました。

ですが、その努力自体が大きなストレスとなってしまったのです。

カッターやカミソリが見つからなければ、押しピンやボールペンといったものを代用して手首や腕を傷つけてしまう…。

そんな私の姿を見て、両親はまた泣きながら止めようとする。

そんなことを繰り返していくうちに、私は

  • 誰かに暴力を振るっている訳じゃないからいいじゃん。
  • むしろ、誰にも迷惑をかけていないんだから褒められるべきだよ。
  • リストカットが私にとって、最高のストレス発散方法だ!

と心から信じるようになってしまいました。

WRAPと出会い、リストカットが止められない理由が判明!

Photo by 小春ひより February.18.2020

リストカットに依存した日々は9年間ほど続きました。

そんな中、私のような精神疾患の当事者や支援者が集まり「WRAP(元気回復行動プラン)」というものについて学ぶクラスに参加することになりました。

WRAPとは「自分で自分を元気にするための道具を作り、その道具を使って自分を回復させていく」もの。自分の取扱説明書のようなものを作っていくのがクラスの目的でした。

道具と言っても、機械や日用品ではありません。

例えば

  • 紅茶を飲む
  • 映画を見る
  • 本を読む

など、その人が元気になることや方法が道具なのです。

私の例をあげると、ラテアートの写真を眺める、ぬいぐるみを抱きしめる、などです。

その道具を探していくことが主な目的だったクラスの二日目、私のリストカットへの依存の理由がある問い掛けにより判明したのです!

「あなたは、調子が悪くなっているとどのような行動を取り、どのように考えますか?」

私は、最初はその問いにとても迷ってしまいました。

ですがしばらく考えた結果、

あ!私は調子が悪くなると、もっともっと悪くなれと願っているな!
と気付きました。

  • 風邪を引いたなら、もっと高熱が出ろ…と。
  • 打撲をしたなら、骨折していたらいいのに…と。

それは何でだろうと考えた結果、

ああ、嫌なことから逃げるためには、病気や怪我をしないといけない…と勘違いし続けていたんだ。

と、この9年間の苦しみの理由が判明したのです。

苦しかった病院でのいじめ。どれだけストレスによる体調不良を訴えても聞き入れてくれなかったのに、うつ病で入院と決まった途端いじめから解放された。

その出来事が、嫌なことからは目に見えて分かる病気や怪我を理由にしなければ逃れられないんだと思い込む原因になっていたのです。

リストカットは、まさに目に見えて分かる怪我。

「嫌なことからは、嫌だといっても逃げられないから。」

と、少しでもストレスになる原因とぶつかるたびにリストカットを通してSOSを伝えようとしていたのです!

その事実に気付いたとき、私は沢山の人の前で大泣きしてしまいました。

それと同時に、とても前向きになれ…なんだか希望に満ちあふれているように感じました。

私は急ぎ足でWRAPに関する書籍をその場で購入し、自分のペースで元気を取り戻していったのです。

リストカットから卒業、うつ病と向き合いながら夢を叶えた

Photo by 小春ひより February.18.2020
幼い頃からの夢・人の役に立つ仕事をすること。

今の私なら、またその夢を追いかけられるかもしれない。

リストカットが止められない理由が判明し「もうリストカットはやらない!」と決めた私は、再び夢を追いかけることを前向きに考えられるようになりました。

そして、WRAPと出会った5ヶ月後にはWRAPファシリテーターの資格を取得。

その後もメンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラー…と、人のために働ける資格を取得していきました。

今でもWRAPに関する書籍、特に増川ねてるさんと藤田茂治さん編著の作品

「リカバリーストーリーとダイアログ WRAPを始める!~精神科看護師とのWRAP入門~」

は、読むたびに新しい発見と前向きな感情を与えてくれる、私の人生を大きく変えた宝物になりました。


まとめ


WRAPと出会い二年ほど経った今、私は完全にリストカットから卒業できました。

そう、あの日以来一度もリストカットをしていないのです。

私の元気に役立つ道具たちは100を超えました。

そして今も新しい夢を、とても前向きに追いかけられています。

まさに、希望で胸がいっぱい。

いじめが原因で発症したうつ病にすら「今の私を作ってくれた大切な経験」と、ポジティブな感情を抱けています。

WRAPに出会って良かった!声を大にして叫びたい!

是非、精神疾患や自傷行為で悩んでいる方に、

「リカバリーストーリーとダイアログ WRAPを始める!~精神科看護師とのWRAP入門~」

を読んでいただきたいなと思います。