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小さい頃からの夢だった、教師という仕事に就き、仕事と趣味に没頭していた頃。ふと、自分のパワーのなさが気になりました。
仕事も趣味もバリバリ楽しみたいのに、それをするだけのパワーがなく、両方楽しみたいのに泣く泣くどちらかをセーブしなければならない現状に。明らかに体力不足だったのです。
そこで、日々の生活の中に、運動することをとり入れてみようと思いました。そんな時に出会ったのがスイミングです。仕事終わりでも行けるプールがあることを知り、通うようになると、体力もついてきた上に、性別や年齢、職業を越えた知り合いができました。そして、ちょっとオーバーかもしれませんが、「人生の勉強」をすることができました。
スイミングに通うことによって、人生観も変わったのです。
仕事も趣味も楽しみたい。でもそれだけのパワーがなかった。

教師という仕事に没頭していた20代。小さなころからの夢を遠回りしながら、ようやくかなえることができ、本当に仕事にやりがいを感じていたのです。
そのまま、10数年突っ走り、ふと自分の生活スタイルを見返してみるようになった30代半ば。新たな趣味を見つけ、仕事も日常生活もより、充実するようになりました。
しかし、そんな仕事も!趣味も!の生活を続けていくうちに、楽しみと同時に、疲れを感じる日々がやってきました。楽しいことをやっているのだから、疲れるはずがない、と思って、最初はやり過ごしていましたが、続くほどにそれを受け入れざるを得なくなり…。趣味を楽しんでリフレッシュしたはずが、翌日、疲れを感じながら仕事をし、仕事が忙しくなれば趣味を楽しむパワーが出ない。そんなことを繰り返すようになりました。
趣味を楽しむのを我慢してみたら、ますますパワーがなくなってきた

仕事も趣味もどちらも楽しみ、私の生活は、充実していました。
私が新しく見つけた趣味は、サッカー観戦です。スタジアムに足を運び、ゴール裏で1試合、サポーターと呼ばれる同じチームを応援する人たちと一緒に、声をあげて、チャントを歌い、チャントに合わせて飛び跳ねる。応援しているチームが勝利すればそれだけで気分は高揚するし、負けたら負けたで、次こそは!と気合が入る。それで日々のストレスも吹っ飛ぶのです。「よし! 次の試合までまた、仕事を頑張ろう!」と。
ところが、いつの頃か、趣味のサッカー観戦を楽しんだ翌日の仕事が大変きつくなってきたのです。疲れがたまってやる気が出ない感じです。それでも、仕事をやらなければなりません。少々無理してでもやりこなし、1日を終えます。そして、次の日を迎えても、やはりすっきりしないことが多くなったのです。
趣味を楽しめるのも、仕事があってのこと。趣味で仕事がおろそかになるのは本末転倒。それならば、趣味のサッカー観戦を我慢して、休みの日は休む! 週末は、家でゆっくり1日を過ごすことにしました。疲れがそれでとれて、週明けからまた、頑張るパワーが出るのなら、それでいいのでは、と考えたからです。
そうやって、大好きなサッカー観戦を我慢し、週末は家でのんびり過ごしたところ、体が休まっているはずなのに、週明けに味わっていた、「また1週間頑張ろう!」という気持ちが全くわかなくなりました。おかげで、仕事にハリがなくなり、出るはずの頑張るパワーは、出るどころか、ますますなくなってしまいました。
私は単純に、仕事をしながら、趣味を楽しむ体力が不足していたのです。それに気付かず、精神的に充実している趣味を我慢して、悪循環に陥ってしまったのでした。単純に日々の運動不足が体力不足につながっていただけだったのです。
体力をつけるために、私が選んだのはスイミング

精神的な充実を得ているのだから、それを継続するための体力が今の私には必要だ。それに気付いた時、まるで、私のタイミングを見計らったかのように、職場から自宅までの通勤路の間に、21時まで営業する温水プールがオープンするとの情報を得ました。
体力作りには、やっぱりランニング? いや、すぐに走る体力があったら苦労してない。それなら、ウォーキングでもいいのでは? 仕事が終わってから近所を歩くのも暗くて何だか嫌だな。などと考えていたところに、先の情報です。
小中高と、水泳の授業が大好きだったので、プールに通うことには迷いはありませんでした。時間のやりくりをして、仕事を終えて、営業時間内に泳げる時間を作って、プールに通うことにしました。スイミングで体力をつけていこうと考えたのです。
泳いでいる間は、無心になれます。それがとても気持ちよく、体力作りが目的ではありましたが、まずはその「無心」になれることが楽しみでスイミングを続けることができました。すると続けていくうちに、泳げる距離が徐々に増えて、本来の目的である体力もついてきました。
こうなると、サッカー観戦に加えて、仕事帰りのスイミングも趣味に加わり、また、体力的にも精神的にも充実した日々を過ごせるようになりました。
体力づくりで始めたスイミングで新たな友達ができた
こうやって、時間を見つけては、スイミングに通うようになると、顔馴染みの人が一人、また一人と増えてきて、言葉を交わすようになってきました。性別、年齢、職業を越えて、スイミングが好き、という共通点だけで、つながれる人間関係が新たにできました。
どうしても仕事が忙しくて、行けない時が続くと、その次に行った時に、次々と「どうしていたの?」「体調でも悪かった?」と声をかけて下さる知り合いが、スイミングを通して生まれたのです。
プールにはサウナが併設してあり、一定の距離や時間を泳いだ後は、大抵サウナに入ります。知り合いの多くとはこのサウナで、一息つきながら、お喋りをします。それもスイミングに通う楽しみになっていました。
バリバリに泳いでらっしゃる方が、お話をすると、年齢が80歳越えだと知って、驚いたこともあります。年齢がかなり上の方のサウナでのお話は、「人生の歴史」を学ばせてもらっているようで、いろいろと心に響きました。
また、年齢が近くても、全く違う仕事をしている知り合いと話すのも面白かったです。仕事が違うと考え方もこんなに違うのか、と改めて実感させてもらいました。
性別、年齢、仕事もバラバラでも、スイミングを通して、知り合った方々からのお話は本当に刺激的でした。
私はそんな知り合いの方々を、スイミングを通して得た友達と言う意味で、勝手に「スイ友」と呼んでいます。
スイミングによってできた知り合いが変えてくれた人生観
体力をつけたいことが第一で始めたスイミングですが、それによって得た友達「スイ友」との関係は、私の人生を大きく変えてくれました。
年齢が上の知り合いの様子を見て、話を聞くと、「私もこんな風に年を重ねていけるといいな。」と思い、職種の違う知り合いと話すと、教師がいかに狭い世界で日々仕事をしているかを実感しました。中には、ご夫婦で仕事後、プールで待ち合わせて互いに励まし合いながら、スイムウォークを続けておられる方もいらっしゃいます。それを見ると、夫婦の素晴らしさも実感できました。
普段の生活ではあまり考えなかった、これから先の自分の人生や、今自分が生きている世界のことなど、スイミングで知り合った友達を通して、考えられるようになりました。
体力が付き、趣味も楽しみながら仕事も頑張れるようになったスイミング。そんなスイミングでできた新たな人間関係は、私の人生観を変えてくれたものになりました。